ホストとして働いている人は個人事業主としてお店と契約している方が多いのではないでしょうか。その場合、年明けに確定申告が必要です。
今回は、雇用契約ごとの確定申告の有無や、それに伴うメリット・デメリット、そして計上可能な経費について紹介します。ぜひ最後まで読んで確定申告にお役立てください。
お店との契約内容によって確定申告の方法が違う
ホストクラブでホストとして勤務する場合、契約内容はお店によってさまざまです。まず、お店との契約内容を確認してみてください。
専業で働く方や副業として働く方など、働き方によって雇用契約の内容が異なります。これに伴い確定申告の必要性も異なるため、まずは自身の契約内容について確認しましょう。契約内容の大きな違いは以下の通りです。
1 お店に雇用されている場合
2. バイトとして働いている場合
3. 副業として働いている場合
それぞれの雇用形態と確定申告の関係について、さらに詳しく紹介します。
1.お店に雇用されている場合
店舗と雇用契約を締結し「給与」を受け取っているキャストは確定申告が不要です。
この場合は、ホストクラブを運営している会社が毎月源泉徴収を行っているため、確定申告をする必要がありません。年末には年末調整を行い、余分に納税している場合には還付金が戻ってくる可能性もあります。また、個人で加入している保険や住宅ローンなどの控除を申告することで税金を調整できるので、年末調整は確実に行いましょう。
なお、雇用されているか分からない方は、社会保険に入っているか確認してください。保険証にお店の名前が記載されていれば、従業員として雇用されています。不安な場合はまずは保険証を確認し、必要に応じてホストクラブ側に問い合わせてみましょう。
2.バイトとして働いている場合
バイトとして働いている場合も基本的には確定申告をする必要がありません。
通常、バイトの収入は比較的少額であり年間の収入が103万円以下の場合は確定申告が不要です。また、103万円を超える場合でも多くの場合はお店が源泉徴収を行っており、年末調整だけで充分です。
ただし、バイトで働く場合でも確定申告が必要なケースがあります。確定申告が必要なケースは以下の通りです。
・お店を掛け持ちしている場合
・年の途中でホストクラブを卒業した場合
・その他、YouTubeの広告収入やFXなどの別の収入がある場合
これらのケースに該当する場合や、12月までの収入を年末調整に反映できなかった場合は確定申告が必要となります。個々の働き方や収入状況に合わせて適切な対応を行いましょう。
3.副業として働いている場合
副業としてお店から報酬を得ている場合には、基本的に確定申告が必要です。年間所得が20万円を超える場合には、雑所得として申告が必要になります。
なお、確定申告する場合は年間の源泉徴収票を使用し、本業の所得と合算して申告します。そのため、お店からの源泉徴収が1月までに行われるように事前に調整しておくことが重要です。
確定申告のメリット
確定申告は計算方法が複雑ですが、その分大きなメリットがあります。主なメリットは以下の通りです。
1. 税金が還付される場合がある
2. 節税対策ができる
それぞれのメリットについて、詳しく説明します。
1.税金が還付される場合がある
確定申告を行うことで、過剰に納めていた税金が戻ってくる場合があります。特に、控除や税額控除の適用がある場合には、返金される可能性があります。
所得税の支払いが一定額以上の場合、予定納税が行われることがあります。予定申告で支払いすぎた場合には、確定申告によりその分が戻ってくる仕組みになっています。
例えば、予定納税後にホストクラブを卒業した場合や、業績が著しく低下した場合には、過払いした税金が戻ってくる可能性があります。この際、還付申告を行えば、税務署から指定の口座に返金が行われます。また、過去5年間に遡って申告することが可能であり、還付を希望する場合は期限内に申告を行う必要があります。
2.節税対策ができる
ホストとして使用した経費は控除対象となります。経費として認められれば、その分納税額を軽減することが可能です。
例えば、お店で使用した衣装やスマホ代が経費として計上可能です。経費計上が具体的にどのようなものが許容されるのか不明確な場合は、確定申告を行っている先輩キャストや経理担当のスタッフに相談してみると良いでしょう。
自身の支出を節税対策として有効活用することで、納税額を軽減できるかもしれません。
確定申告のデメリット
確定申告を行う際のデメリットも存在します。
・複雑な手続きと計算
・ミスや漏れのリスク
・法律や規制の変更への対応
これらのデメリットを克服するために、事前に必要な情報を整理し計算作業に十分な時間を確保することが大切です。各デメリットについては以下の通りです。
複雑な手続きと計算
確定申告は税法や経理に関する知識が必要であり、手続きや計算が複雑です。自分で行う場合、それらの作業に時間と労力を要します。
また、事前に源泉徴収票や領収書などを手元に集めることも必要です。
ミスや漏れのリスク
確定申告は正確性が求められるため、ミスがあると追徴課税や罰則金の対象になる可能性があります。
法律や規制の変更への対応
税法や経済状況は変動するため、法令や規制の変更に迅速に適応する必要があります。
確定申告を電子申告で行うことも可能です。特に、経費が多い場合は確定申告の計算に適したソフトの購入もおすすめです。スムーズに申告作業を進めるために準備を整えましょう。
よくわからない場合は、税理士などの専門家へ相談するとよいでしょう。
領収書は大切に保管しましょう
確定申告には領収書が必要です。経費として認められる領収書は以下の通りです。
・衣装代
・交際費
・交通費
・スマホ代
・名刺代
確定申告では領収書を提出する必要はありませんが、証拠書類として7年間の保存が求められています。また、2022年の電子帳簿保存法改正により、Amazonや楽天などのECサイトを利用した場合は、電子領収書を電子データのまま保存しておく必要があります。保存方法や取り扱いについて確認し適切に管理しましょう。
衣装代
お店で着用する衣装は経費として計上可能です。スーツ着用やカジュアルな衣装などさまざまありますが、お店で着用する場合は経費として認められます。
また、ヘアセットにかかった費用も計上可能です。イベントで使用したコスプレ用の衣装・メイクも計上できるので、貰った領収書はきちんと保管しておきましょう!
交際費
お客さまとの飲食代や一緒に過ごす際の費用は、経費として計上できます。同伴やアフターなどの際に支払った食事代やイベント参加費、ゴルフ接待など、幅広く経費として認められています。
交通費
同伴やアフターに利用したタクシーや電車などの交通費も経費として申告できます。お酒を飲まないキャストの場合は、通勤に使用する車の駐車場代やガソリン代も経費として計上可能です。
スマホ代
ホストクラブでの勤務において、スマホ代は重要な経費となります。1台しか所有していない場合、プライベートで使用した部分は経費として計上できませんが、業務での利用が認められればその分は経費として申告可能です。
仕事専用のスマホを所有している場合は、そのスマホ代全体が経費として計上できます。通信費の管理を簡単にしたい場合は、仕事用に専用のスマホを持つことをおすすめします。
名刺代
お店の源氏名を含む名刺の費用も経費として計上可能です。名刺は新たなお客様に自己紹介をするための広告媒体であり、名前を広く知ってもらうために必要です。確定申告の際には、名刺の作成に要した費用が広告宣伝費として認められます。
まとめ
ホストクラブで働く場合、雇用契約の有無や働き方によって確定申告の必要性が異なります。お店に雇用されている場合は源泉徴収により納税済みであり確定申告は不要ですが、雇用契約がない場合や副業として働いている場合は基本的に確定申告が必要です。
確定申告は手間がかかるものの、還付や節税のメリットがあります。電子申告が可能であり、PCやスマホを活用して簡単に行えます。領収書の保存や手順を確認しておくことでスムーズに申告ができます。
確定申告を怠ると、無申告加算税や延滞税などの余計な税金を納めることにつながります。また、確定申告の期限が過ぎてしまった場合でも無申告のまま放置せず、しっかりと確定申告をしましょう。確定申告は自身の収支を管理し、税金を効果的に活用する手段ですので、しっかりと準備してメリットを享受しましょう。