こんにちは雛子です。「お客さんはなぜホストクラブに通うのか?」というテーマの3回目。今回はエースたちの複雑な心の内について考えてみたいと思います。
エースは負担も多いがそれ以上の達成感を体験できる
エースであるということは、担当に最もお金を使っている客ということです。そして担当のホストのみならず、お店からも大切にされる存在であることを意味します。
ホストクラブは結果(月々の売り上げ金額)がすべての序列を決める世界です。それはエースであるお客さんにとって、少なからず負担がかかるものですがプライドをかけた争いでもあります。
これは以前、ホストクラブは「息抜きや気晴らしのできる場所」と紹介したことと矛盾します。確かに娯楽の一つとしてのホストクラブは楽しいものですが、エースにとっては自分以外のお客さんは全員が敵で、担当と一緒に戦う戦場でもあるのです。
SNS上で散見される「メンタルがやられる」「病む」という言葉はそのような精神状態から発せられるのでしょう。
しかし、なぜお客さんたちはこの大きな負担から逃げないのでしょうか。それぞれ理由はあると思いますが、強制されているわけではありません。結論から述べると「その負担以上の達成感」があるからです。
毎月継続してこそ本物のエース。エースとして評価されることがモチベーションに
コラム第22回で述べた「エースはすごい」「エースはカッコいい」というホストクラブ特有の思考に慣れてくると、担当に大事にされているエースの様子に「自分もエースになりたい」と思うお客さんも現れ、締め日に担当の隣でナンバー発表を聞くために努力と苦労を重ねていくのです。
それは担当のためであり、同時に自分のためでもあるのです。
月に3桁(100万円以上)を使うことが普通になってくると、ホストクラブで頻繁に行われるイベント(バースデー、昇格祭など)で高額ボトルを卸したり、豪華なタワーをやることがエースの役割とされるようになります。
本物のエースは単発ではなく、毎月継続してこそ意味のある存在であり、その思いが強い人にとっては追い詰められるような気がすることもあるそうです。エースとして評価されるような立ち振る舞いをしなければならないという承認欲求は、身を粉にして働くモチベーションとなるのです。
エースたちによると、ホストクラブで大金を使う楽しみは、そのような体験をして初めて感じられるものといわれます。自分のために大勢のホストによるコールが行われ、卓に飾りボトルが並んでいる光景を見て優越感に浸る。この快感がホストクラブ遊びの醍醐味の一つです。
ホストクラブではお客さんは姫。無理せず自分のペースで楽しい時間を過ごしてほしい
承認欲求が強過ぎたり、褒めてもらえない、認めてもらえないと感じる時期が長引き拗らせてしまうと、自分以外の人たちと良好な人間関係を築くことが難しく、自己中な人になってしまいます。
歳をとると承認欲求は自然と充たされます。なので、無理に欲求をなくそうとしなくてもよく、自分の「認められたい」という気持ちを大切にしてあげてほしいと思います。
本来、ホストクラブではお客さんは常に「姫」なのです。一人ひとりのお客さんにとって、周りの評価や存在を気にせず楽しい時間を過ごせる夢のような場所であり続けることを願っています。